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田島 知未

企業不動産一部
2009年入社

リアルレポート

企業不動産部

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田島 知未

企業不動産一部
2009年入社

未来に向けた土地活用

A社は1938年の創業以来、東京都大田区を拠点に、自動車などに使用される特殊ねじの製造を行ってきた企業だ。コア技術である塑性加工に定評はあるが、時代の流れに合わせ次の一歩を模索していた。財務状況や建物などの設備老朽化も懸案事項だった。そこで検討されたのが、本社社屋や工場がある約5,600坪の敷地を今後に向けてどのように活用するか。三菱地所に相談が持ちかけられ、不動産活用のプロフェッショナルとして三菱地所リアルエステートサービスにも声が掛かった。窓口となったのは企業不動産一部。A社の期待を超える挑戦が始まった。

ライバルを制すために

検討が始まった矢先、A社社長が急逝。ご子息が跡を継ぎ、経営陣の刷新も図られた。新体制となったA社は、会社のさらなる飛躍に向けて、思い入れのある敷地を活かすプロジェクトに舵を取り始めた。それと前後して、A社の担当に就いたのが企業不動産一部の田島である。A社所有地は規模が大きく立地も良い。当地を基盤に展開されるプロジェクトの獲得を狙う同業他社は多く、A社も複数の企業に提案を求めていた。並みいるライバルのなかで、いかにA社の信頼を得てプロジェクトを任せていただくか。考え抜いた結果、田島はある戦略を採ることとした。

グループシナジーを最大限発揮

それは、三菱地所グループのシナジーを存分に発揮し、当社にしかできない提案を行うこと。三菱地所リアルエステートサービスと三菱地所設計、三菱地所レジデンスが連携。ライバルは土地の全体売却を前提としていたが、田島は違った。土地の一部を売却して財務状況の改善を図りつつ、残りの土地に新たに本社社屋や研究施設を建設する道筋を提案したのだ。「ご提案にあたって何より大切にしたのは、A社の足跡や実績、飛躍を志す想いに徹底的に寄り添うことでした」と田島は語る。そのために不動産の面から何ができるかを考え、導き出したのがこの方法だった。

次々と現れる課題に向き合う

田島の熱い想いが通じ、三菱地所グループがプロジェクトを任されることとなった。しかし、ここからがまた試練の連続。A社が所有する土地は複雑な権利関係や登記の錯誤、公有地の存在や境界紛争、土壌汚染等多くの問題を抱えていた。「一つずつ問題を洗い出し解消していく、粘り強い取り組みが必要でした」と田島は振り返る。売却予定の土地については、「2年以内に現在建っている社屋と工場を取り壊し、更地にする」という契約条件があった。それは同時に、新本社・研究棟を設計して建築し、オフィス機能はもちろん研究・製造設備の移転まですべて済ませることを意味する。田島の挑戦は新たな局面を迎えた。

「想い」をメンバーで共有

プロジェクトの進行管理を担った田島は、解体や設計など、本来なら三菱地所リアルエステートサービスが関わらない内容の打合せにも顔を出し、進行状況を確認。遅れが生じそうな場合は作業を早めるよう、担当企業に交渉することもあった。「先方が“無理です”と言うのですが、“そこを何とかしてください”と詰め寄る、かなり踏み込んだやり取りもありました」と田島は苦笑する。「打合せに同席できたことや率直に意見交換ができたことは、グループ企業、いわゆる身内ならではのメリットだったと感じます」。こうした状況の中で着実に工程を進めるために、田島は「A社の飛躍を不動産面から後押しする」という想いをプロジェクトメンバー全員が共有することにこだわった。

顧客を次のフィールドへ導く

2018年2月、待望の新本社・研究棟が完成。毎年、旧工場前に社員が並んで撮っていた記念写真は、新本社・研究棟前で撮影された。笑いさざめく社員たちの様子を見守る田島の心には、プロジェクトの一つの区切りを迎えた達成感と安堵感があった。同年10月には売却した土地の引渡しが完了、本件は終幕を迎えた。当初の話から足かけ8年、三菱地所リアルエステートサービスは3代にわたり担当者が代わり、打合せ回数は200回を超えた。プロジェクトの過程でA社と田島とは強い信頼関係で結ばれ、この頃にはすでに別の不動産についても相談が寄せられていた。A社との付き合いが今後も続く手応えを、田島はつかんでいた。A社は今、航空宇宙や医療機器など、新たな分野への挑戦に踏み出そうとしている。

A社社員様 集合写真(左側:新本社・研究棟、右側:旧社屋)

Tajima's Comment

プロジェクトを振り返って

確かに大変なことの連続ではありましたが、とにかく楽しかったという思いです。企業が今、改めて伸びようとしている過程に自分も参加している、そんな感覚を抱きながらプロジェクトに取り組んでいました。今回の経験で得たのは、お客様に寄り添う姿勢の大切さ。ビジネスシーンでこの姿勢を持ち続けるのは容易ではありませんが、そこにこだわったからこそ、A社と強い信頼関係を結べたのだと感じます。

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